「チョコレートドーナツ」

ゲイの恋人たちとダウン症の少年が、他人だけどどの家族よりも家族したお話しでした。麻薬常習者の母親が逮捕され、一人になったダウン症の少年を育てた暮らしはとても充実して、ハロウィンには家族で扮装しておどけたり、体に悪そうなアメリカっぽい色の毒々しいケーキをアハハウフフして食べ、クラスの仲間たちと少年がお歌を歌うのを見てゲイのおとうさんとおかあさんは涙を拭いていました。少年はドーナツをもらってニコニコし、ゲイのおかあさんが作ってくれた魔法少年マルコのお話しでニコニコしましたが、世の中が偏見と感情を優先したことによって全部なくなりました。完全になくなったものは取り戻せないけど、ゲイの人たちは生きて行かなければならないのでかなしいだけが残りました。ここ最近長編ばかり観ていたので、あっという間に終わりました。「短いと疲れないのか!」と気づきました。観終わった直後は、世の中の矛盾に残念な気持ちになりましたが、しばらく経つと、輝いていた3人の暮らしの残像にこころが悲しみでいっぱいになりました。そういう映画です。