「家族の灯り」

odo-mikikov2014-02-22

まるで舞台演劇をみているような演出だと思っていたら、戯曲を映画化したのだそうですから当たり前でした。解せました。冒頭の波止場のシーン以外はずっとびんぼうの薄暗く湿ったお家の中でした。薄暗く湿ったお家には老夫婦と嫁で暮らし、彼らは8年前に失踪した老夫婦の息子であり、嫁の夫の帰りを待っていました。しかし本当に帰りを待っているのはおっかさんだけで、おとんと嫁は失踪の秘密を知っていて、その秘密を共有することで親子とも男女ともつかぬ奇妙なこころのつながりをかもしていました。おとんと嫁の微妙な関係だけでなく、おっかさんの息子溺愛っぷりや、戻ってきた息子のこの一家の運命レベルでの危険分子っぷりなど、ちょっとした表情や手の動きですごくかもしていましたから、「かもすわ〜、この映画かもすわ〜。」てなりました。また、近所の老人と老婆がやってきて、高齢者ばかりでお茶をするシーンがたいへん素晴らしかったので、このシーンだけでも見る価値ありだと思いますがどうでしょうか。ジャンヌ・モロークラウディア・カルディナーレが並んだ映像は迫力がありましたし、個性の玉手箱や〜といったところでしょうか。正直が信条で、正直一辺倒なばっかりに、いっこも裕福への切符を手にすることが出来なかったおとんが、そのポリシーと相反する嘘をおっかさんの為につき続け、一家の主として選択した結末に、「うおー!不条理!」となりました。こころに深く残るよい映画だと思いましたが、インターネットしたら評価がすこぶる低かったので、のべつまくなしに人々におすすめしないことにしました。終始かもし続け、最後にうおー!な映画でした。舞台演劇とか好きな人は観たらいいと思います。