「遊戯の終わり」

遊戯の終わり (岩波文庫)

遊戯の終わり (岩波文庫)

サンショウウオが気になるわ〜、と毎日サンショウウオを見ていたら意識がサンショウウオになってしまった人や、遺跡から出土した彫像に固執した考古学者が徐々におかしくなり、次々にその仲間ぜんいんがおかしくなりました、という頭おかしくなる連鎖など、不思議系のお話が詰まった書籍を読みました。どれも素晴らしく、どことなく都会的な不思議でした。しかし不思議ばかりではなく、児童が公園に幼い子を連れて行き、置いてきたらどうだろうかと試そうとする子どもやばいのお話しや、列車の窓から外を眺める少年と、その通り過ぎる列車に向かって演技する3人の少女の、少年少女の繊細さウオー!な短編も素晴らしいので、人生に不思議はいらないという方でも楽しく読めると思います。かく言うわたくしも、人生に不思議と刺激はいらないという生き方なのでこの手のものはあまり読まないのですが、これは読んでみて良かったと思いました。なんでもかんでも「これ、いらんわー。」と感じたからと言って手を付けないのはよくないことでした。幼稚園の時に大人たちに教わりましたが忘れていました。大人になると大切なことを忘れがちです。あの時、こどもミキコフに大切なことを教えてくれた大人たちは、小さき人々に教えることで自らに注意喚起していたのでしょうか。ならば、むしろこどもミキコフが大人に大切なことを思い出させてあげていた、ということになりましょうか。そんなことよりTV showでたまに放送される大家族シリーズは、人の家を覗き見しているような、田舎の狭いコミューンで噂話しているような下品さで、本当に気分が悪くなりますからミキコフはあれが好きではありません。なぜあれはあのように世に求めらるるのでしょうか。不思議です。気持ち悪い不思議さです。そこへいくとこの書籍はここちよい不思議でしたので気に入りました。人々もここちよく不思議して下さい。