「陸軍登戸研究所」

odo-mikikov2013-09-24

ランチの時、職場のOLさんに「週末何してた?」と聞かれました。「莫大な金と素晴らしい技術をドブに捨てた陸軍機関のドキュメンタリー映画を観てきました。」と答えるのがはばかられましたので、「特になにもせずのんびり過ごしました!」と答え事なきを得ました。風船爆弾を作っていた戦時中の研究所として存在は知っていましたが、その他に怪力光線や偽札製造などそれぞれの科(1科〜4科まであったそうです)で行われた実験や研究の目的と過程を元所員たちへのインタビューで紐解き、6年の歳月を費やし制作されたとのことで、上映時間は3時間でしたが最初から最後までまことに興味深く鑑賞させていただきました。当時、怪力光線のPR用アニメ(無声)が作られており、敵の飛行機や基地などが擬人化され「こしゃくな。」「南無三!」と吹き出しの台詞つきでポップなアニメになっていました。「なんとポップな!ひとごろしの道具なのに!」とお戦争の滑稽さに笑ってしまいました。また、風船爆弾の打ち上げ担当であった軍曹が、今では寝たきりで殆どまともに回答することもできなくなっておりましたが、アウアウ口を動かすそばから全部奥さんが独自の解釈でしゃべっていたので、よくあるおじいとおばあの姿にも笑いました。「お戦争むなしい!」という気持ちと同時にとてもよく笑いましたから、これは戦争記録映画としては実にユニークなのではないでしょうか。上部の将校は日頃とてもいいものを食し、国の予算は使い放題でそれこそバブリーな生活をしていたようですが、戦後もアメリカ軍の機密工作に協力をし戦犯から逃れて豊かな暮らしをしていました。そのような、戦中戦後を通してある意味戦争が他人事であった人々は国の中枢に君臨しなお一層アハハウフフと暮らし、その子孫らが今の政治を動かしておるのですから、そりゃ武装すべしとか言い出すよね、てなりました。豊かな暮らしの人々は戦争になっても、それが終わってからも困った記憶がないからです。風船爆弾を作った女学生たちは指が曲がったりなどの後遺症が残りましたが、世間がお戦争になったらわたくしのような底辺の人間は指が曲がるにんげんに組み込まれることでしょう。BGMもミヨ〜ンミヨ〜ンと不思議な音で作品に合っており、エンドロールで確認できた範囲でどうやらアイヌ民族音楽が使用されていたようです。たいへん面白くよくできたドキュメンタリーですので、人々もお暇がございましたらご覧になったらよいと思います。