「熱波」

odo-mikikov2013-08-26

ナイーブのリカオちゃんが「一人で観に行くのドキドキしちゃう。」と言うので、モノクロの大人の映画を一緒に観てきました。孤独なキチガイばあさんに振り回されるそのメイドと隣人の慈善活動家のおばはんを描いた、まったく静かな一部と、ナレーションと音楽のみで展開される、ばあさんの激動の過去の2部で構成されておりました。慈善おばはんに思いを寄せるよくわからんおっさん画家のトンチンカンな行動でウフフしましたし、ばあさんの無軌道な言動とメイドの無表情との対比が実に面白く、この1部の台詞や動き一つ一つが後半の2部にしっかりつながっとりますから、「なんとようでけた映画であるか。」と感動いたしました。2部はサイレント映画の様相を呈しておりますが、それゆえにキチガイばあさんの若き頃の情熱が見る側に押し寄せてまいりまして、「見事なパッション!」と圧倒されました。このばあさんが、自分はとんでもない罪を犯したから呪われている、私の代わりに祈ってくれと度々慈善おばはんに懇願するのですが、2部で明らかになるその罪を、何十年も抱えて生きてきた年月に気が遠くなります。キチガイばあさんが今際の際に再会したかったボケじいさんの淡々とした語りがそこはかとなく切ないのでした。子どもにはこの行間が読めないと思うのでみないでください。そういう映画でした。面白かったです。