「ミハスの落日」「ウィグルの母ラビア・カーディル自伝」 

空気が冷たくなってきて少しやる気が出てきたので、本の感想とか書いてみます。

ミハスの落日 (新潮文庫)

ミハスの落日 (新潮文庫)

貫井徳郎さんのは長編ばっか読んでいたので、短編を読んでみました。それぞれのストーリーは面白かったです。「ジャカルタの黎明」はラストも良かったし、結構気に入っているのですが物足りなかった。短編なのでちょっとページが少なかったのかもしれません。殺人動機の説得力がちょっと足りなかった気がします。しかし、テーマはさすがと言いたし。「サンフランシスコの深い闇」は序盤で犯人がわかりますが、あえてそういう風に書いているのかもしれません。これは短編で成立していましたが、中編ぐらいにしてももっと面白いかもしれません。とか、アマゾンレビューっぽくまとめてみました。どうでしょうか。どうでしょうかじゃねぇよ。良かったんだけどさー、なんかなー。海外が舞台で、登場人物もほとんど外国人なのでなんか外国っぽさを出そうとしているところがちょっと違和感があって、スタイリッシュなセリフとかが度々でてくるので、いちいち心がスンッてなったのでした。スンッてなりながら読んだよ。スタイリッシュいらない。しゃれた洋酒の銘柄とかそういうのいらない。スタイリッシュに押し出されてパンチ力がどっか行っちゃってたよ。「さよならの代わりに」を読んだ時の大々的な肩すかし感はなかったのでそれはよかったし、後述の書籍と同時進行で読んだのであまり重たくなくて丁度良かったです。それについてはありがとうございました。
ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝 中国に一番憎まれている女性

ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝 中国に一番憎まれている女性

インターネッ友が貸してくれましたので読みました。別に貸してくれと言ったわけではありませんが貸してくれたので読みました。わたくしはこういうことがよくあります。中学の時、担任の先生からなぜか灰谷健次郎さんの本を渡され、「こういうのも読んでみて。」と言われましたし、高校の時にはさほど仲良くしているわけでもないクラスメイトから「これ、面白いから読んでみてよ。」と日本の戦艦についての書籍を渡されました。本は嫌いではありませんし、そんなに選り好みはしない方ですからちゃんと読んで返しました。灰谷健次郎さんの本はそんなに面白くないというか、まあそんな好きなタイプのじゃなかったので、というか、全然おもんなかったので「なんであの先生これを私に…。」と思いましたし、いまだに謎です。戦艦のやつは太平洋戦争中のエピソードも入っていたので、これはおもてたより面白かった記憶があります。人がわたしに何をイメージして貸してくるのか訳が分からないですし、だいたい自分では買わないような本を読むことになりますから、本を一方的に貸されるのはたいへんおもしろいです。そんなわけでこの書籍も読んでみました。文章がとてもやさしいので意識高いの中高生などでも楽しく読めるのではないでしょうか。わたくしのような意識の低い大人でも面白く読めましたから、きっと大丈夫です。活動家のおばはんの奮闘記です。ウィグルのために人生をかけて生きるすげぇ元気なおばはんです。おばはんはあらゆることに精力的な女であり、見た目もいいのであれよあれよという間に指導者になってしまいます(ならざるを得なかったのか、なるべくしてなったのか、そのどちらもだと思いますが)。追放されたり離婚したり、再婚したり、こどもも大量に生んで金持ちになり、もちろん亡命と拘留生活もして大忙しの人生です。肝っ玉母さんです。中国はとても怖い。人の人生を何とも思ってない。人がたくさんいすぎるからでしょうか。そんなことも思いましたが、面白いので人々も読んだらいいと思います。