うまれてすみませんけど生きます。

携帯を見たらおかはんから着信が残っていました。電話をしました。「なんも用はないとよ。こないだ言うちょった旅行が週末からやから、一応言うちょこうと思って。」と言うので、ああ、はい、またあの話ですね。と思いながら、なんでしょうかと聞き返しました。「2泊3日じゃからなんもないと思うけど、〇〇んとこの下の引き出しの△△んとこに箱が入っちょるから、そこに全部書類から何から入っちょるから。」「わかったわかった。」「兄ちゃんは感情でなんでも動くから、兄ちゃんが葬式はこんだけのこつしちゃらないかん!あれはこんなんしちゃらなかわいそうじゃ、やら言うてもここに書いちょる通りにあんたが仕切りないよ。」「はいはい、心配いらんよ。おにいが何かゆうても私に口で勝つわけないて。」「そらそうじゃね。」だいたいこんなかんじの会話ですが、ちょっと旅行に行く、書類を書き直した、などの折に必ず言ってくる話です。なんだったら小学校の高学年の頃に初めて仰せつかった大役です。その後不定期ですが、度々仰せつかっています。もうウン十回任命されています。おかはんは自分が親を8歳ぐらいでなくしているので、多分残された子らのことが気がかりなのである。その子らがどれもちゃんとしていないので不安なのもわかります。まったくもうしわけない。あいすいません。「そらそうと、JALの社長って片岡千恵蔵の息子じゃったかね?」ときかれましたので、「ああ、この人JALで旅行行くんじゃね。」と思いました。インターネットで調べたら片岡千恵蔵さんの息子さんでした。「うん、今調べたらそうじゃて書いちょる。合うちょるよ。」「あー、合うちょった。もう今夜は枕高くして寝ますばい。」「そうですか。」「まだボケちゃおらんごたる。」「そうじゃね。」私のできる親孝行など、JALの社長が片岡千恵蔵さんの息子さんかどうかをインターネット大先生で調べてあげるぐらいのものだ。まったくもうしわけない。