「北朝鮮で考えたこと」

北朝鮮で考えたこと (集英社新書)

北朝鮮で考えたこと (集英社新書)

オーストラリア人の歴史学者の人が、北朝鮮に行って考えたことを書いたやつです。紀行文なので頭を使わなくても大丈夫でした。歳をとったので頭を使わなくてよいのはとても助かります。ありがとうございます。頭を使わないで読んだ結果分かったことは、1910年頃に中国や朝鮮を旅したエミリー・ケンプさんの見聞録をもとに、その足跡を辿る的な旅のようです。ケンプさんの紀行文を引用しながら自分たちの体験記を書いていますから、ケンプさんが訪朝した時との対比があって面白かったです。また、ケンプさんが訪朝した当時は日本の植民地となりつつある過渡期の頃だったので、そのときの朝鮮の風景や人々の様子が書かれており、動きのある歴史が読めてよいと思いました。ケンプさんもそうなのですが、この著者も情景描写がメインなので紀行文ではありますが、どちらかというと物語を読んでいるような感じがしました。なので、中国や朝鮮の歴史に詳しいの人々は「なんだよこれ、ただの小説じゃねぇかよ。」と思うかもしれません。わたくしは専門家ではありませんから、学者の人が小難しいことを大上段に構えて書いた感がないので、いいんじゃないかなーと思いながら読みました。なんとなく感じたのは、著者が、北朝鮮や中国に何かしらの期待感をもっておる、ということでした。きっといずれはこんなふうに(良く)なる、的な感じです。あ、さすが大陸の人や、と思いました。わたくしは島国感まるだしのネガティブやろうなので、あんさんがいわはるようにはうまいこといきまへんで、そんなうまいこといくんやったら、当の昔にええようになってなおかしな話やでしかし、と思いました。ですが内容は日本人でもなく、朝鮮の人でもない第三者的立場の人が書いているのでまた違った北朝鮮への視点で、これはこれで面白いと思いました。