「告別」「傍聞き」

告別 (講談社文芸文庫)

告別 (講談社文芸文庫)

読みにくくて大変面白かったです。この「読みにくい」というのは文章が難解で読みにくいというわけではなく、適当にななめ読みができない、ちゃんと考えながら読まないといけないという意味の読みにくいです。わたくしは福永武彦ファンではないので、贔屓目に読んでおりませんから、人々が読んでも面白いんじゃないかと思います。「告別」で、大学教授が海外在住中に不倫していた外人のおなごが、教授不在の間に勝手に来日し教授宅を訪問しており、嫁と娘の前で「ワタシダンナサンヲアイシテイマス」と宣言しちゃいますからワオ!てなります。なんでそんなこと言っちゃったの!?て聞かれて「ダッテ ホントウノコトダモノ ミツヲ」と言い出すので、やだ、外人怖い〜。教授が帰宅すると、不穏な空気に包まれた居間で、嫁と娘と義母とおなごが押し黙っているわけですから、あら、やだ、たいへん。こんな風に書くと、「なんだよ、昼ドラみてぇな話かよ。」と思われるかもしれませんが、全然そういうやつではなく、長女の自殺と自分の死が後半に向けて徐々に重なり合っていくとことかマジ文学的で素敵だから読んでほしーの。(貧乳を寄せてセクシーポーズ)
傍聞き (双葉文庫)

傍聞き (双葉文庫)

読みやすくて全然おもんなかったです。でも1日で読めました。だから文章は上手なんだと思います。しかし、わたくしの好きな文章ではありませんでした。言葉のチョイスとか。細かいことですが「ひとりごちた」とかなんかそういうのが嫌でした。前後の文章の感じと、「ひとりごちた」という語感が違和感があってなんでここでそれチョイスしたんやという気持ちでいっぱいになりました。書店のPOPに「めっちゃスゴイ!」みたいなことが書いてあり、各方面で大絶賛やというので購入しました。アイデアはとてもよいと思ったのですが、登場人物のやりとりがフィクション過ぎてなんか読んでてだれました。どの話もちゃっちい2時間ドラマみたいな感じでした。しかし、これはわたくしの好みの問題ですし、おそらく先に福永の重たい小説を読んだので、なんかちゃっちく感じたのかもしれません。せや、うちがそないおもただけや。きっとええやつなんやとおもいますわ。