「ムサン日記」

odo-mikikov2012-05-28

気分が全然アガらねぇとてもいい映画でした。なんで気分がアガらないかといいますと、脱北者の不器用な男スンチョルのゴミみたいな生活のおはなしだからです。南北問題に鋭いメスを!的な映画ではなく、冷静ににんげんや世の中を描いたまことに素直な作りとなっておりました。住民登録番号ですぐに脱北者だとわかってしまうのでなかなか仕事が決まらず、ほのかに思いを寄せる聖歌隊の女性とも意思疎通がうまくいかず、だいたいのシーンで怒られるか殴られるかしています。共に生活する脱北者仲間もトラブルに巻き込まれ、いやなんでやねーん、というぐらいダメなことばかり起きるのに、スンチョルはいいわけも説明もしないのでさらにダメな方にいってしまいます。ホステスたちとカラオケで讃美歌を歌うシーンや、パスタを韓国のあのツルツルしてつかみにくい長い箸とスプーンで食べるとことか、あと同居する脱北者仲間が酔ってシャツのナイキのマークを「ナイキ〜、ナイキ〜。」と連呼するところがオモシロかなしくてよかったです。観る前にインターネットで「衝撃のラスト!」という情報を得ていたのですが、衝撃のラストでした。うわー、まじかー、そんなんして終わんねやー。ええやん、ええラストやんかー!てなりましたから、心がお元気さんな人はぜひ観てそうなるとよいでしょう。ミキコフは感動しました。