あざす。

村のエトランジェ (講談社文芸文庫)

村のエトランジェ (講談社文芸文庫)

文芸文庫の「椋鳥日記」「懐中時計」を以前に読んでいたのですが、これが一番好きかも。田舎にやってきた都会からの「異邦人」と村との関係がめちゃくちゃスマートに描かれていて素晴らしい。面白くて一気に読んでしもたとです。なんて無駄のない文章と展開!田舎がテーマなのになんですか、この都会的な空気は!「白孔雀のいるホテル」の駆け落ちしてきた世慣れた女と気弱なボンボンの描写が滑稽で面白かったし、「紅い花」のラストが(予測はされているけど)衝撃的だった。どれをとっても全部面白い。小沼丹の文章は前々からいいなぁと思ってたのですが、これは本当にいい。なんてクールな作品群なのかしら。日頃から感謝の心の足りないわたくしですが、この作品をまとめて一冊にした方に感謝申し上げたい。