コーンスープが好きです。でもぞう……。

絶賛される映画はとても心配です。期待しすぎて外すことが多いから。でも、これはいい。なんだか懐かしい映画を見たというような感覚になりました。最後はどっちかというとハッピーエンドなのかしら?はっきりしたハッピーエンドではないけど、きっとそう。むやみに人の死をさも悲しげに描いたり、やたら子どもを出してきたり、家庭の事情が複雑で不幸だというエピソードを大仰に演出したり、そういう盛り上がりはないので人によっては退屈かもしれないけれど、非常にテンポが良いと思います。キャラクターが個性的で面白いし、主人公の隣人である美女には意外な真実があり、それを知った後でも主人公にとっての天使であることに変わりなくて、盗みに入った(入らされた)家の主人がボケていて、その老人と主人公の会話もどのエピソード一つとっても、そこはかとなく優しさがあって観終わったあとがとてもいい。映画作りに協力すると申し出てきた怪しげな男に主人公は完全に振り回されたのに、最後にはくさっていた気持ちにほんの少しだけあかりが灯る。私もそういう気持ちになった。