ぼうやだからさ。
- 作者: 坂口尚
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/07/12
- メディア: 文庫
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やっぱド暗い。
でもあのころとは違って理解ができた。一応成長していたみたいで良かったわ。ほっ。対ドイツのパルチザンに染まって戦うようになるクリロと二重スパイの兄イヴァンとの再会のシーンと、イヴァンの最期はぐっときた。ナチスの強制収容所での人間の変貌も、パルチザン内での人のゲスいところなんかもすごくリアルに描かれていて力はいってるなぁと思った。でも、ドイツが敗れ、チトー率いるパルチザンが独立を勝ち取ったところで終わるんだけど、あの人物は終戦でどうなったの?とか、フィーはどうやって解放され戻ってきたの?とかなんだかすっきりしないで終わっちゃった感がある。実際、第二次世界大戦は終わって、ユーゴは解放され平和が戻ったんだけどそれは一時で結局チトーの死で紛争が絶えなくなるわけで、あえて含みをもたせた終わり方にしたのかしら。また暫く間を置いて読んでみると違うのかもしれないなぁ。ただ、一読の価値はある。こんなに内容の濃い長編は誰でも描けるもんじゃない。