ぼうやだからさ。

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)

石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)

中学の頃読んで、なんだこの暗さ!!面白いの?!面白くないの!?という印象のみが残っていた漫画。同時期に「カムイ伝」を読んでいて、あれも暗いし長いんだけどカムイの方が引っかからずに読めた。テーマにしている文化と歴史が違うからだろうな。「石の花」は旧ユーゴにナチスドイツが攻撃し始めたところから始まるのだけども、やはり中学生の私にはまだそこらへんの歴史とか知識がなさすぎたんだなと思って読み返してみた。
やっぱド暗い。
でもあのころとは違って理解ができた。一応成長していたみたいで良かったわ。ほっ。対ドイツのパルチザンに染まって戦うようになるクリロと二重スパイの兄イヴァンとの再会のシーンと、イヴァンの最期はぐっときた。ナチス強制収容所での人間の変貌も、パルチザン内での人のゲスいところなんかもすごくリアルに描かれていて力はいってるなぁと思った。でも、ドイツが敗れ、チトー率いるパルチザンが独立を勝ち取ったところで終わるんだけど、あの人物は終戦でどうなったの?とか、フィーはどうやって解放され戻ってきたの?とかなんだかすっきりしないで終わっちゃった感がある。実際、第二次世界大戦は終わって、ユーゴは解放され平和が戻ったんだけどそれは一時で結局チトーの死で紛争が絶えなくなるわけで、あえて含みをもたせた終わり方にしたのかしら。また暫く間を置いて読んでみると違うのかもしれないなぁ。ただ、一読の価値はある。こんなに内容の濃い長編は誰でも描けるもんじゃない。