池袋とロシア。

単純な、スパイの伝記とかスパイ事件の概要でないとこが非常に面白いです。尾崎秀実やゾルゲだけでなく、その周辺の人々の背景にも触れ、また尾崎が美食家であったため当時食していたものも紹介されています。そのせいか非常に人間味溢れた内容になっております。家族が世界的大事件の中心人物として死刑になったことを書くのは葛藤があったのではないかなぁと思いながら読みましたが、後半で尾崎秀樹氏自身やはり長い間兄の死や事件に向き合えなかったと書いていました。ほんとに思想ってのはすごいなと。ある一定の思想に固執することで、ここまで大々的な事件へと人を導くわけですよ。あ、あと頭が良すぎるってのもだめね。バカはこんなことできませんからね。日本の特高が解読できなかったというゾルゲ達が考え出した暗号ってのが凄かったです。意味分かりませんもの。とにかくえらいややこしい仕組みで、でも混乱を避けるための組み合わせなどの工夫が凝らされていて実に見事な暗号なのです。クラウゼンの供述でやっと発信源が判明したぐらいですから賢いですよねぇ。ま、捕まっちゃいましたけど。