寒い時には暑いと思えるのか。

うるわしきあさも 阪田寛夫短篇集 (講談社文芸文庫)

うるわしきあさも 阪田寛夫短篇集 (講談社文芸文庫)

しぐれに続き、タイトル買いです。あ、あと文芸文庫でもあるので買いました。高いけど。「サッちゃん」などの童謡作家としてしか認識がなかったのですが、童謡だけに限らず、すばらしい作家だなと思いました。いきなり「平城山」でブラックな短篇で始まり、戦時中から熱心なクリスチャンであった両親の話や、作曲家の叔父と従兄弟の話など家族を題材にした作品があり、「陽なたきのこ」のような、ベテランの女性教師と子ども達の物語など、童謡作家を髣髴とさせるものもありと盛りだくさんです。個人的には「日本の童謡」が一番良かったかな。偏屈な童謡作家の人生を主人公の眼を通して淡々と描かれる暗く、でもとても穏やかな作品。まったくもってして外さないわけですよ。短編集でもなんでも、とにかく作品のチョイスが見事。文芸文庫の編集者にお礼が言いたいぐらいだわ。ええ。
話は変わって、先日シャク子(JG改めシャク子)さんと乃木神社へ行きました。会社が移転して、乃木坂がとても近くなったので、ちょっと行って見ましょうよということになったのですが、いや、その前になんか夜、シャク子殿と食事をしているときに、なんの話の流れであったかは忘れましたが乃木将軍の話が出たので行ったのでした。旧乃木邸の佇まいが、豪華な作りでもなく、ほんとにひっそりと建っているので、実に淋しいお家に見えました。昔は中に入れたそうですが、今は外から家の中の様子を見ることができます。乃木夫妻が自決した部屋は小さな畳の部屋で、ソワっとしました。や、サワっとした?かといってゾワっという感じではなく、ま、どうでもいいんすけど、なんかそんな感じがしました。神社にお参りをして、遺品の展示室があったのでそこも見て帰りました。これもまた控えめな展示室で、これ見よがしでないのがかえって感動しましたわ。ええ、わたしまけましたわ。