道のりは長く。

響きと怒り (講談社文芸文庫)

響きと怒り (講談社文芸文庫)

ハイ!ハイ!(挙手)解読するのに集中しすぎて二駅乗り過ごしました!!三日連続で。てへぇ!
フォークナーは難解だといわれておりますが、ほんまかいな?と挑戦してみたわけです。そう、私の人生に足りないのは挑戦です。あ、そんなことはどうでもいいんですが、フォークナーが難解といわれる所以が解せました。文章の途中でいきなり過去の出来事が挿入されたかと思ったら、現在進行形の話はどこかへ行って、挿入された過去の出来事がメインの話にすり変わったり。さらに一人の人物の頭の中の記憶が混在している様子がそのまま書かれることも多く、混乱します。過去の記憶や出来事なんかは書体が変わるのでなんとなくわかるんですけど、その文章の挿入のされ方が唐突。
話は4章に分かれていて、1928年4月7日・1910年6月2日・1928年4月6日・1928年4月8日の順にコンプソン家の没落が描かれています。3章と4章はすらっと読めます。なぜなら普通の文章だし、この二つの章のそれぞれの主役が普通の人物だからです。1章の主人公はコンプソン家の33歳になる三男で白痴のベンジー。2章はハーバード大学に在学中の長男で、溺愛している妹と近親相姦したと妄想*1して自殺するクェンティン。この前半の人物らがまあ難解。クェンティンの章に至っては、自殺するために部屋を出て行くところで終わるのですが、その終わりに差し掛かる数頁は読点が一個もねい。なんですけど、たぶんこの章が一番面白いと思います。ほんとにこの長男が頭ぐっちゃぐちゃになってて、まさにおかしくなっている様子が手に取るようにわかる。すごい。むちゃくちゃな文体にしか見えないんだけど、ちゃんと最後の章ですべてがつながって、コンプソン家の歴史がわかるというまさに「どんだけ」な小説なのです。この破天荒な文体に、読み進むうちに慣れてきます、ということはありません。慣れません最後まで。ええ、慣れませんとも。メガ慣れねい。でも、面白いし確実に読破できます。冒頭に、主要人物紹介が付いていて、さらに巻末に著者のつけたしでそれぞれの人物を解説しているのでそれの効果が大きいと思います。それがなかったら半分も理解できたかどうかわからねい。といったところです。とにかくこんだけ理解しようと集中して読んだのは久しぶり。
もう少し普段からあたまはつかわんといかんなと。まあ、反省したわけです。

*1:なんでこんな妄想するに至ったか、ちゃんとそれなりの理由があるんですけど、その理由もまた難解。