おれは革命したいのか?

政治と革命を題材にした短篇が12篇詰まっております。
田中英光の「少女」は戦後すぐの共産党の闘争委員会の様子が描かれてますが、軸になる少女の言葉遣いが時代を感じさせるので大変浮世離れした感覚をおぼえます。「〜なさったほうがいいわ。」「あら、いやだ。」とかそんな感じです。主題の委員会がどうこうよりも、そっちが気になりました。田中英光自身の死に方が気持ち悪いので、その先入観があるのか、なんかキモかったです。よくわかんないけど。
林房雄の「四つの文字」はこれは面白い。負けると知りながら南京政府の大臣となった男の話だけど、ちょっとした心理ホラーだと思う。つか、うまいよねー、やっぱり。心理ホラーといえば、埴谷雄高の「深淵」もそのたぐいかも。野間宏の「立つ男たち」、高橋和巳の「革命の化石」、桐山襲の「リトゥル・ペク」は革命の空虚感と集団心理の闇を描いた、まさに政治と革命の秀作。倉橋由美子の「死んだ眼」に「ぼくは学生運動という宗教めいたスポーツよりもスキーやスケートのほうが好きだ」という台詞があるんだが、学生運動を簡単に説明するならこの一言につきるんでないかと思いました。