何度も言うぜ。おもしろいから。
- 作者: 講談社文芸文庫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/09
- メディア: 文庫
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島尾敏雄や森茉莉、梅崎春生、村上春樹といった層々たる面子がそろっております。森茉莉の気違いマリアの気違いっぷりがコミカルで可笑しい。そしてハルーキはやっぱりオサーレね。なんか音楽とか、ワインの名前とか時計の銘柄とかこまけぇの。さすがハルーキです。描写がもっと鬱陶しくなると、これはハルーキではなくナベジュンになってしまうので注意が必要ですが。
で、この短編集の中に後藤明生の「しんとく問答」がありまして、これが面白かった。
有名な、折口信夫の「身毒丸」の由来となった伝説の里を訪ねた時の話なのですが、この伝説に関する分析もさることながら、「写ルンです」を所持して行ったという表現がおかしかった。後半は伝説の鏡塚を「写ルンです」で撮った、やれなにそれを「写ルンです」で撮ったといちいち「写ルンです」を取り出した描写が頻繁でもうコントです。ここはもう「カメラ」でいいんではないかと思うところも「写ルンです」と。「写ルンです」はカメラではないというこだわりがあるのか、もしくは「写ルンです」となにか関わりがあるのか知りませんが、とても律儀に「写ルンです」と表記するわけですよ。しまいのほうには、いつ「写ルンです」が来やがんのかドキドキですよ。ルンが片仮名だからおもしろいのか?いや、しんとく伝説や「身毒丸」について非常に真面目な考証がされている中に、ひょいと「写ルンです」が出てくるのが面白いのです。否、面白インです。