むしろ怖い
- 作者: トマス・モア,平井正穂
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1957/10/07
- メディア: 文庫
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ちゃんと読んだことがありませんでした。
今更ながらでなんですが、
結構おもしろいんですのね。
もっと評論くさいものかと想像しておりましたら、
いえいえ、これ立派に物語です。
モアが友人の紹介で、
ユートピア国に行ってきた男と出会うところから始まります。
この男の話で、ユートピアの生活や、規律なんかが
わかっていくのですが、
まず、この国すんげぇ平等です。
むしろ気持ち悪いぐらいです。
私有財産ってものがないんですな。
搾取する階層もないので、
そういう争いごとが起きんのです。
かつて世界中が熱狂した共産主義的な社会構造に似とりますな。
ユートピアが、現実の共産主義と違ったのは、
人々の勤勉意欲が低下しないことと、
本当に皆が平等に質素であるということ。
余暇には、芸術や科学という、まさに理想郷。
でも、
一日の生活パターンや、着る物から何まで細かく決められ、
国中監視されてますのよ!こわっ。
そら、犯罪もおきませんわな。
規律に不適格な人々は奴隷にされんですって。
なんか矛盾してね?
しかも、使ってなければよその土地を取っても良しって、
良くねぇでしょ。
それにしてもよくここまで、
架空の国家を作ったなーと、ただ脱帽です。
モア自身が、宗教家でありながら、法律家でもあったそうなので
なるほど、合点がいきますです。
読んでみるもんですなぁ。