過剰なまでに実直
- 作者: 島木健作,新保祐司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/03/11
- メディア: 文庫
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文学史でその名と、いくつかの作品名のみ
記憶していたのですが、
実際に作品を読んだのは初めてです。
一言でいうと、
重い。
表題作の「第一義の道」は、
母と息子の心の葛藤を描いてます。
母は、その父・夫・親族すべてに
恐縮しながら生きてきた人で、
息子は政治運動によって前科者として生きる自分が、
そんな母を、なお恐縮させていることをよしとしていません。
それでもどうしようもない現実と、
あまりの母の弱弱しさに、ただただ葛藤する日々。
母子のやり取りが、そこで見ているかのように書かれ、
それはもう、息苦しい程!
また、これに同じく収録されている、
島木の死によって未完となった「土地」は、
ある土地をめぐって、
一人の青年を取り巻く環境が
じわじわ変化していくという話で、
人の描写がホントに手抜きなしなのです。
もう、コレぐらい
どーんと重いと
かなりの「読んだ!」感が味わえますデスよ。
それにしても、過剰な正義感と優しさは、
人を幸せにしないもんだなと、改めて思いましたー。