神田古本街で購入した

終着駅 (講談社文芸文庫)

終着駅 (講談社文芸文庫)

戦後の雑然とした東京の街で、
一人の男が溝に落ちて死にます。
名前はウニ三(ウニゾウ)。誰も本名を知りませんが、
彼に関わった人の手から手へ、その位牌が渡って行き、
受け取った者は、位牌へと変わっていきます。
まるで死の連鎖。

さて本文はというと、全編会話と手紙で構成されており、
ミステリー仕立てになっております。
あっという間に読み終わりますが
会話の書き方が絶妙で、会話だけで情景が鮮明に浮かびます。
最後には、ところどころ穴があいていた箇所が
きっちり埋まってすっきり
当時の風俗も効果的に使われていて、
数時間で読み終わってしまうのがもったいないくらいです。
古本屋で、半額に近い値段で買ったのに
この内容ですから、相当お買い得でした。ありがとう神田!