雪の東京。

東京に雪が降りました。数回の「雪が降る降る詐欺」を経て、本当に降りました。南国育ちで雪珍しがり族のミキコフは、朝一で窓の外を見、雪の本気を確認しまして、横殴りなりかけの吹雪の中、あえて少し距離がある方のスーパーまで買い物に出かけました。すってんころりんに注意しながらサクサクと白い中を歩きおりますと、空気のつめたさに得体のしれぬ昂揚感が沸き起こり、突如雨に歌えばのジーン・ケリーのごとく軽やかにステップを踏み出し、スーパーの駐輪所の柱でくるりんと華麗にターンをきめるのであった(きめてはいない)。リズム感が壊滅的なミキコフにはダンスでこころを表現することはできませんが、しかし完全なる無表情のしたでは四肢を限界まで伸縮させ全裸で飛び回るミキコフがいたことだけは申し上げておきたい。無表情で携帯を取り出し、無表情で雪景色を撮り、粛々と買い物を済ませ、わざわざ遠回りして帰宅しました。そして南国にある母に何の用もないのに電話をしました。「東京はえらい雪が降りよるよ。」と。母は「知っちょるよ。ニュースでそればっかりしよる。わたしも若いころA知県で働きよった時にわざわざ雪の日に散歩したっちゃが。」と言いました。わたくしたちはまぎれもなく親子でした。翌日、わたくしはお選挙に行きました。雪をギュッギュと踏みしめて批判票を入れてきました。若者たちが軍国主義者の化け物を支持していることに恐怖を感じました。思想は自由ですが、自由はどこまで可能なのでしょうか。わたくしたちにんげんはどうしたって滅ぶようにできているのかもしれません。この東京が日本の意思表示なのでしょうか。踊り踊るならチョイと東京音頭放射性物質まみれの雪だ!