音読。

素敵OLさんの長女ちゃん(小3)が自宅で音読の宿題をしていたそうです。あまんきみこさんのあの名作、『ちいちゃんのかげおくり』です。その日の音読はもうすでに何度目かの音読だったらしく、素Lさんは「ああ、またちいちゃんのかげおくりね。」と思いながら聞いていたのですが、突然長女ちゃんがオウ、オェー!と嗚咽し始めました。「急に泣き出すから、どうしたの?ってきいたら、ちいちゃんがしんじゃった〜!って号泣なの。」と言うではありませんか。なんと純粋無垢な子であろうかと感心いたしておりますと、「おかしな子でしょ?前にも何回か読んだことある場面なのよ。今まで泣かなかったのになんでその日は泣いたのかしら。」と言われました。「いや、そこひっかかるんか〜い(笑)」と絶妙な間でつっこみましたが、素Lさんはそこが本題ではないとわたくしのツッコミを軽く受け流し話を続けました。「ママー!なんでひとは戦争をするのー!?」と言われた、どうしていいかわからなくなった、と言うのです。「わたし、なんて言ってあげたらよかったかしら?」わたくしの濁り、汚れっちまったドライアイを、キラキラと輝くブラウンの瞳が見つめています。それは明らかに答えを欲していました。「ドラえもんはかつて“どっちも自分が正しいと思ってるよ、戦争なんてそんなもんだよ。”と言ったそうよ。」と言うと、「わあ!すごい、すごいわドラえもん!!ただの青白いダミ声のメカだと思ってたわ!今度うちの子に質問されたらそう答えるわ!」と思いのほか喜ばれました。わたくしは思いがけずひとんちの子育てのお役に立てました。藤子不二雄先生ありがとうございました。それにしても長女ちゃんは明るく純粋に育っており、まったくほほえましい。わたくしにもあんな時代がありましたでしょうか。思い返してみましたが、あんまりやさしい子どもではなかったような気がします。インターネットのこどもたちにはまっすぐを大切にする人間に育ってほしいです。まっすぐこそ人間が最速で老化するところだから。