エイドリアン。

ロッキーという、ヒューマン筋肉映画があります。それは大変有名な映画で、人々はそれを語る時、生卵ゴクゴクとともにあのセリフを思い出します。「エイドリアーン。」です。テーマソングがよりエイドリアーン感を演出し、ロッキーがうおー!となっている感動的な場面のいちばんええとこです。感極まって愛する者の名を叫ぶ。人間であればきっとそうするでしょう。人間の感情が爆発した瞬間ですから、純粋な感動シーンです。なのになぜ、こんなにおもしろとして扱われるのでしょうか。ロッキーうおー!エイドリアーン!これのどこがおもしろなのでしょうか。何を笑うことがありましょうか。人が真剣になっておるのに。ロッキーうおー!エイドリアーン!おもしろいです。なんかおもしろいです。わたくしは気付きました。「エイドリアン」という名前の語感が面白いのだ、と。そしてスタローンさんのあの発音が面白を増しているのだと。これがスタローンさんではなく、もっとシュッとした俳優さんが、「マリアー!」と叫んでいたらどうでしょうか。ただの感動のシーンだったと思いますがどうでしょうか。ふくやままさはるさんはシュッとした男性ですが、あの発音の独特さによって、「あんちゃ〜ん。」「こッゆき〜。」がおもしろいことになってしまいました。これをふくやまさんが「えいどりあ〜ん。」と叫んだらなおのこと面白いはずです。もはやコントです。エイドリアンの語感がすばらしいので、きっとこのエイドリアンという名には素晴らしい意味があるに違いない、そう思いました。例えば聖人君子の名を由来とするなど、なにかあるはずです。早速調べました。なんの意味もありませんでした。結局そういうことです。