先輩。

少し遅い時間に渋谷から電車に乗りました。飲み会帰りらしき若い女性2人が、座っているわたくしの前に立ちました。どうやらがっちり体型の女性(以下、新弟子先輩)が会社の先輩で、茶髪で巻き髪の女性(巻き子さん)の愚痴を聞いてあげていました。巻き子さんは、異動になってから少し経つが、意外と人見知りで全然なじめないと言っていました。「意外と、」と自分で言うくらいですから、これまでかなり多くの人々に「人見知りに見えな〜い!」と言われてきたに違いありません。そのなじめなさからくる業務のやり難さについてハァ〜、フゥ〜とため息交じりで語っていました。新弟子先輩は両手でつり革に体重をかけながら、ふんふんと聞いていましたが、「なんかさぁ、あんた体育座りが似合いそうだもんね〜。」と言いました。巻き子さんは「えっ?どういうことですかぁ?」と言いました。わたくしも心の中で「え?」となりました。仕事の話をしていたのであって、体育関連のワードは一つもなかったように思うのですが。「なんかさ、隅っこで体育座りしてるだけでなんにもしてねぇじゃん、てことだよ。」とフリスク的なものを口に入れながら答えました。「あのチームでなじめないってだいぶやべぇよ。あんた可愛いからさ、なんか許されてるけどわたしみたいなんが人見知りとか言ってたらマジ生活できねぇから。引きこもりになって親の年金で暮らすヤツになってっから。自分がすげぇデブでブスだ、自分で稼がねぇとだれも食わせてくんねって思って生活したらいいんじゃん?」とアドバイスしていました。なんと荒々しいアドバイスなのか。わたくしは驚きました。みわあきひろさんだってこんな斬新なアドバイスしますまい。話し方もずいぶん男勝りで、女子力のかけらも感じられませんでしたが、自分の身を切り売りした、こころが流血しながらのアドバイス。巻き子さんに「ほんじゃ、また来週。」と言って降りて行く新弟子先輩の背中はとても丸くて大きかった。