短所。

感じのいい青年が物品の受取りにきました。本社の社員Aさんです。わたくしより10歳ぐらい若い人のようです。青年はさわやかにやってきて、さわやかに去って行きました。カワさん(私とタメ)が、「Aさんてさわやかだよね。さわやかで出来てんじゃないかってぐらいだよ。」と言いました。まったくだ、見た目もだいぶ男前にできているからきっとモテるであろうよと答えますと、「そうなんだよ。Aさんていつでも低姿勢だし、テキパキしてるしいいとこばっかなんだよねー。どっか悪いとこないかなー。」と言い出しました。Aさんの欠点をオババふたりがつれづれなるままに考えました。「男前、身長高い、清潔感がある、有名大学卒、感じがいい……。」いいとこしか出てきません。するとカワさんが、「実はズラである。いや、あれは地毛だな。脱いだらおなかがぽっこりしていて小デブである、とか?いや、でもそこがカワイイ!とかってなっちまうんだろうなぁ…。なんかないんかなぁ…。同じホモサピエンスなのにずるいよ、いいことはもっと分け合うべきだ。」と仮定の話をし始めました。ふと、物品受取りの際に署名をしてもらった書類が目に入りました。「カワさん、あったよ。字が、すごく下手。」カワさんはそのひしゃげたような字をみて目を輝かせましたが、「あった!やっとあった!けどむしろ人間味が感じられていよいよ感じがいい!なんてこったい!」と言いました。わたしたちは腐っている、すっかり性根が腐りきってしまっている。そのような結論に達した初夏のある昼下がりであった。夏は嫌だなぁ。