秘儀伝授。

疲れすぎて眠れない。という事態が発生しました。布団に入ると同時にしんだように眠るという特殊能力を持っているこのわたしがです。しかしみなさん、ミキコフという(たぶん)人間は、眠れない時に発動される、かなり高度な技を持っているので、このような不測の事態でも慌てることがないのです。昨今の日本には不眠症などで悩む人々が多いと聞きますので、今日は特別にみなさんにこの技をお教えしたいと思います。しかし気を付けていただきたいのは、この技はかなり高度だ、ということです。個人差がありますが訓練が必要です。「あのミキコフというロボみたいなやつにできるんだから、僕(私)なら赤子の手をひねるより簡単なことだ。」などと思わないでいただきたいのです。そういう心構えでは大怪我をします。旋盤の機械を扱う新入社員のごとく、いかなる場面でもハンドルを10時10分で握る免許とりたてのごとく、慎重にこの技と向き合うとお約束いただきたい。「そんな危険な技ならなんで教えるんだよ、ばかか。」そういう感想を持たれるでしょう。ごもっともです。しかし、この技を会得することによって、あらゆる状況に応用できるようになるのですから、こんな素晴らしい事はありません。「安物買いの銭失い」という言葉がありますが、簡単に会得できる技などその場しのぎ、その時だけのもので終わりです。英検3級なんてほとんどの日本人が合格することができますが、履歴書に書けない。そうです、安かろう悪かろうなのです。非常に単価の高い物品があるが、実にすばらしい性能を持っている。購入するとお金がおもてたよりたくさんなくなりますから、「損」した気分になります。しかし、損して得取れです。高くて評価の高いものはロングスパンで考えるととても得なのです。わたしの技はそういう価値あるものなのです。前置きが長くなり誠に申し訳ありません。結婚式の挨拶で「話がくどい。」と嫌われる会社の上司といったところでしょうか。しかし、わたくしのこの熱意が伝わればと思った次第です。「眠れない」に勝つ、すばらしい技。それは「寝ない」です。逆に、「眠れない!」と焦るということは、「わたしは眠れる!」と思っているということです。うぬぼれないでいただきたい。睡眠をなめないでいただきたい。わたしのような人間が眠ることができるなんておこがましい。今まさに眠れないのだから、わたしはただ眠れない人間なのだ。この思考回路を確実に自分のものにできたならば、なにが起きても動じずに生きてゆくことができます。この技の名を「妥協」といいます。ですから、眠れない時は寝なければいいのです。ずっと寝なければいつか寝ます。にんげんというものはそういうふうにできているのです。