思い出。島のはなし。

7,8年ぐらい前でしょうか。夜、自宅でTV showを観ておりますとお世話になっていたゼミの先生から電話がありました。「〇〇駅近くの店で飲んでますが、あなたよかったら来ませんか。」丁度その当時、○○駅沿線に住んでおりましたので、このおっさん、だいぶ酔うてあるなと思いながら店に向かいました。そこは小さな韓国料理の店でした。先生の知り合いである韓国人のキムさんと先生が飲んでいました。他に客がいたかもしれませんがよく覚えていない。わたくしはお茶を飲みながらチヂミを食べた。「酒が飲めないなんて人生で大いに損してますよ。」と酔っ払いのおっさんに言われながら。先生とキムさんは文学の話や、キムさんのビジネスの話をしながら酒を摂取し続けました。わたくしは、ほう。さいでっか、そないでっか。と相槌をうちました。さらに酒が進んだ先生は店のおかみさん(韓国人)と竹島の話で論争を始めました。先生はこれこれこうだから日本の領土であるよ、と言っていました。おかみさんは「日本人は思い出したように我が領土!と言うけどいつもトクトを思ってないよ。韓国人は子供も大人もトクトの歌うたえるよ!日本人いつもトクト知らない。トクトどこにあるか目をつぶって指させるよ!」と言いました。キムさんは終始落ち着いていて中立の立場の意見を言っていました。急に先生が、「あんたどうなの?」とふってきました。はいきた。まじか、めんどくせー。議論は体力を使うからいやだ。何と言うべきかおおいに迷いました。10代のじゃりんこではありませんから「いや〜、ちょっと自分、わかんねッス!てへへ〜。」と言うわけにはいきませんし、まったく困ったことです。「あんた、意見ないの?」先生はさらに詰め寄ります。酔っ払いめんどくせー、てなりましたが、そのめんどくせーでめんどくせースイッチが入ったわたくしは、「韓国でいいじゃないですか。今までだって竹島が機能してないことで困ったって話きいたことないですし。あ、あと、トクトの歌ってのがあるんですねー。すごいですねー。」と言いました。こういうことを言うと先生はいつも言い返してくるはずでしたが、先生どころかおかみさんもキムさんも「あ、はあ…。」みたいな反応になりました。まったく真剣さのない若者(当時)を目の当たりにして真剣な大人たちはすっかりあきれてしまったのでした。相手をあきれさせれば世の中から戦争がなくなるかもしれません(なくなりません)。そしていつの間にかおかみさんの息子の話から宗教の話になり、先生はよくわからない話を何度も繰り返し夜は更けてゆきました。わたくしは真剣に話してはいませんでしたが、本当に思っていることを言ったつもりでした。もっと、あのおかみさんや先生のようにパフォーマンスを加えて話すべきであったか。空気を読んでもっと熱く竹島を語るべきであったか。そう思いましたが、思っておわりました。あの頃からわたしは何も変わっていない。めでたしめでたし。