パイナップルケーキ

素敵OLさんが部署異動のため、4月からわたくしがいるフロアと同じ階になりました。面識のない人ばかりの部署で不安なのと時々わたくしのところにやってきます。かわいらしい。その素敵OLさんが南の島に家族旅行に行っていたそうで、「ねえやん、これ食べて。お土産なの。」とお菓子を持って来てくれました。「まあ、なあにこれ?」「台湾のパイナップルケーキよ!」「タイ…ワン…?あなた台湾じゃなくて南の島に行ったんじゃなかったっけ?」「そうだけど、南の島はチョコレートばっかりしかないの。おねえやん、チョコ苦手でしょ?だからトランジットの台湾で買ってきたの。これならねえやんも安心して食べられるでしょ?」おお…、なんてこと。なんて優しい乙女なの。こんなやつのためにわざわざトランジットの台湾で…!やさしさがこころに沁みたわ。傷口に塗るときの赤チン(マキロンでも可)よりもうんと沁みたわ。カワイイだけじゃなくて優しさが、いや、育ちがいいからこころに余裕があるのね。待って、カワイイから余裕があるのかしら?そうね、カワイイならカワイイに時間を割く必要がないのだからその分余裕が出るわよね、だってカワイイの人はふざけたってカワイイのだから。キィ!くやしい!わしにももっとカワイイを!!!!カワイイを!!!!たいせつにしますからー!そのカワイイをー!全身全霊大切に!しますから!!わたしにー、カワ、イイ、を……(土砂降りの中、道路に突っ伏して)
パイナップルケーキを無表情でほおばりながら、わたくしももっと優しく生きよう、そう思ったのでした。