暮らしが埋まっています。

桜の木の下には屍体が埋まっている、と言ったのは梶井基次郎でしたでしょうか。ポチャ太郎さんの顔には黒ぶちの眼鏡が埋まっています。正確に言いますと、埋まっているように見える、ですが。ポチャ太郎さんは幕下力士ぐらいのぽっちゃりなので顔もまんまるなのです。頬肉に眼鏡が埋まり、艶消しの黒ぶちが表情筋にも負けず、その顔にぴったりフィットしています。そんなポチャ太郎さんの眼鏡の話を、友人のしゃく子さんにしましたところ、「眼鏡が埋まってるんですか?あ、先日実家に帰りましたら、壁にテレビが埋まっていました。」と言われました。みなさんは壁にテレビを埋めたことがありますでしょうか。わたくしはありません。なぜならテレビを埋めるほどのスペースを確保できる壁がないからです。そんな話をしながら店を見渡し、ちょうど近くにわりと大きめのテレビがありましたので、「これより大きいのかしら?」とたずねると、「はい、それより全然大きかったです。」と言われました。埋める物にも暮らしが反映されるのですね。今日は暖かいですね。