リマインドの女(ひと)

隔週と月初にあるデータを送ってもらうよう外部委託しているのですが、その担当の方が100%の確率でこちらからリマインドメールをしないと忘れます。わたくしがこの方とやりとりをするようになってから、一度も忘れずに送ってきて下すったことがありません。初回からリマインドしました。もう、あちらの社内で「リマインドの人」と呼ばれているかもしれません。「リマインドの人」であれば、まだなんといいますか、ちょっとした映画のタイトルみたいでよろしいと思いますが、「催促ババア」と呼ばれているかもしれないのです。いいえ、呼ばれていましょう。しかし、催促ババアになりたくてなっているわけではありません。あの担当の女が忘れるからです。データの数字もよく誤入力したまま送ってきて下さいますし、一度直接もの申すべきではないだろうか、たかだか派遣社員がさしでがましいだろうか、いやさ、言うべきだ。なぜなら仕事だからだ。そう思い、別件で来社された際に一言申し上げんとしましたが、現れた女は見るからに病弱そうな、サナトリウムから一時帰宅許されたかのような骨皮筋子でした。さらにその顔つきはすべてを失い、夢も希望もなくしましたと語っていました。言えね。なんも言えね。喋り方までもが今にも消え入りそうなか細い声で、「あっ、あの…お、お世話になっておりますぅ…。よ、よろしく、おねがいいたしますぅ…。」だーみだー、おり、だみだー。こだなか細いの見せられたらだみだー。この人、得してるなぁ。でもきっと他の事で損しているんだろうなぁ。そう思いながら、スペシャルな営業スマイルで「いえ、こちらこそ〜、今後ともどうぞ宜しくお願い致します!」と申し上げたのだった。