神様仏様。

骨の火 (講談社文芸文庫)

骨の火 (講談社文芸文庫)

今まで読んだ宗教小説の中で一番面白かったかもしれません。どのようなところが面白かったかというとキリスト教だけでなく、仏教や哲学の話も出てくるのですが、それとの対比が分かりやすかったからであります。わたくしのような読解力がやや低めの人間でも「ほほう、これは面白い!」と思えるので親切な小説でありますが、その分野に詳しい人であればさらに面白さが倍増したであろうに我は…、と知識貧乏を悔やんだのも事実であります。さて、あらすじをおおまかに申しますと、主人公の男がキリスト教に入信し、そして信仰を捨て、信仰の脅威から逃げ続けた挙句再度入信し、鬱病で破滅するという恐ろしい話です。おお、こわい。主人公の父の危惧通り、キリスト教徒になったことで延々と苦しみ、宗教の縛りで自ら逃げ場をなくしてゆくので、ついに鬱になってしまうのです。主人公が書生をしていた家主もキリスト教徒ですが、こいつも宗教のせいで頭がおかしいです。あと、この鬱主人公はセックスばっかりやっています。愛人とのセックスシーンはなにやら道具を使用するなどしていたようですが、道具を使ったことがないため場面が想像できず、なかなかに難解で困りました。なんかどえらいアクロバティックなことしてんのかいなと、たいそう恐ろしいシーンでありました。宗教とセックスは怖いのです。正しい知識は身を助けますが、偏った知識は身を滅ぼします。「偏ってて結構、ほっといてよ。」などと言っていては、後々大変な事になりますから、広く世の中をみて自分と違う意見も受け入れた方がよいかと思います。そうしないとうんこ人間になってしまうのです。うんこ人間は幸せになろうとするばかりで、誰も幸せにしませんから残念です。そういうお話でした。