本の虫作戦。

わたくしは読書が好きですが、本の虫、と言うほどではないので「趣味:読書」と書けません。「趣味:読書」とはたいへん便利だと思うのですが、ホントに趣味と書けるレベルの人でなければ大変危険なワードでもあります。随分前になりますが前の職場にいた女性が「私、本を読まないとおかしくなっちゃうんだよね。いっつもハードカバーの本持ち歩いてるからカバンが重くて。本代だけで破産しちゃうよ〜。」と言っていました。実際、いつも本を持ち歩いていましたし、よく職場近くの本屋に立ち寄っていたようです。そして「お風呂でも本読むからのぼせちゃったりするんだよねw」とも言っておりました。わたくしはお風呂はお風呂で集中したいですし、本が湿気でしわしわ〜となるのはどうもいただけないので、「私は読み返したりするからシワシワになるのは嫌だなぁ。」と申しましたところ、「え!?なんないよ!ちょっとシワってなる程度だよ!」その、シワっとが嫌なのであるよと思いましたが面倒でしたので「へー、そうなの。」と答えるに留めたのであります。さてそんなある日のランチタイム、本の虫さんに誘われ2人で食事しながら話しておりました。「ミキコフさんなら本の話できそうかな〜って思って誘ったんだよ!」と言い出したではありませんか。これは困った勘違いをされたものだ、知らない作家の話を出されたらどうしたものか。と昼飯どころではなくなってしまいました。こうなっては先手必勝である。誰もが知っている、そしてわたくしも知っている作家の話題を持ち出し無難にこの場を切り抜けるべし。而して作戦参謀であるわたくしの脳がチョイスしたのが「三田誠広」であります。「大学の頃、周りに三田ファンがたくさんいたんだよねー。本の虫さんのところはどうだった?」と申しますと、「は?何?」という表情をされました。ん?まさかのチョイスミスであるか!慌てて作戦変更である。「あ!昨日おっかさんが醤油送ってくれたんだ。」「え!わざわざ送ってもらってるの!?どこの醤油?」「フンドーキンの醤油なのよ。あ、そうだ、野上弥生子の実家なんだよ!」「は?」「野上…」「あのさ、薄口しょうゆってあんま使わないよね〜!」「え、あ、いや結構使うよ…。」「え!?まじ?それってさー……」今、あの店にはこう記された碑が残されてありましょう。【ミキコフ部隊、玉砕せし地】と。