ミア パードレ。

成る程、リカオさんの父上はなかなかユニーク団塊父さんのようです。わたくしの父は真面目一辺倒の公務員でしたので、特に面白いことも言いませんし、趣味も釣りや山登りといった一人でもできる、つまり団体行動をとらなくても済むものばかりの人です。随分前に痛風になったので医者に少し痩せた方が良いといわれ、毎晩ウォーキングをしていますが、それを始めた頃休みの度にウォーキングシューズばかりを買ってくる、という奇行をとりはじめました。お陰さまで倉庫の中には履いていない靴だらけになったことがあります。おぞましい光景でした。「あんた気が狂ったとね。」と母に言われ、今はその恐ろしい奇行はなくなりましたが、履ききれなかった靴たちは経年劣化のため、持っただけで勝手に靴底が外れる、という現象を巻き起こしました。もちろん母がポンポン焼却炉に投げ込み焼き払いました。これが我が家の歴史にその名を刻んだ「ウォーキングシューズ焼き討ち事件」です。また、なんでも否定する思考回路になっているようで、テレビを付けっぱなしで寝ているのに「寝ちょらん!」と怒るのは当たり前で、電気を消し忘れたことを指摘すると、「おれは点けちょらん!誰かの肩がスイッチに当たったとじゃ!」といいますし、あんた痛風なんやから間食をやめなさいよと言うと、「おれは痛風じゃねぇ!」と痛風の薬を飲みながら怒り散らすという、考えてみたらなかなかシュールな男であることが分かりました。シュールな男とサブカル女の間にできた子がわたくしです。シュール父さん×サブカル母さん+田舎=ミキコフです。そのミキコフはシュールでもサブカルでもありませんが、むやみやたらに頑丈な心を与えられました。神様のいたずら、であるか。いや、神などおらぬ。どっちもの遺伝子の「心が強い」染色体がわたくしに集中したのです。神より科学です。