死刑台のエレベーター。

久しぶりに食貪さんの話をしたいと思います。
昨夜は会社の新年会でした。いつもそういった会社行事などを行う施設で開催し、いつも通り牛しゃぶコースを食べました。まあ無事に終了しまして、さあ帰りましょうとお手洗いに行きますと、そこには食貪さんと他部署の女性陣がおりました。わたくしが化粧直しをしようとすると、食貪さんがちょっと小声で、しかしたいそう憎しみのこもった声で、「ねっ!違った!ねっ!」と言ってきたのです。え、何がスか。主語がねい。なんかいろいろ文章として欠陥だらけじゃねいか。伝わらねいよ。わたくしは混乱しました。正常な判断ができず、「はぃえ?」といったニュアンスの、非常に表記困難な返事をしてしまいました。「お肉!お肉、違ったよねっ!Eさん(合併直後に退職された役員さん)がいたときは霜降り肉だったのに!安い肉になってた!」だそうです。「…あ、ああ。そ、そうかもですねー。Eさんいなくなったからご機嫌取る人いなくなって手抜きしたんじゃないですかねー(笑)」とお答えしますと、「だよねっ!酷いよね!今日の肉酷い!あの支配人、人みて変えてるんだよ〜!最低〜!今日のお肉、美味しくなさ過ぎて喉通らなかったよねっ!ねっ!」
エーー、うそぉーん。あんさんムシャムシャ食うてはりましたや〜ん。肉にむしゃぶりついてましたやーん。食貪さんはエレベーターを降りて出口で別れるまでずっと「ありえない、ホントありえない。あの肉、ないよねっ!飲み込めないよねっ!」と言い続けました。わかりましたよ、わかりましたから。もう、肉はいいですから。あの牛肉が食貪さんの喉を通らなかったということにしてもいいのですが、わたくしは喉を通りましたので勝手に喉を通らなかった族の仲間にしないでください。ちょっと、なんていうか、怖いですから。結構な高速エレベーターなのですが、このまま下降し続けるのではなかろうかと不安になる程遅く感じた。そんな夜でした。