初期設定を見極める。

先日まことにめずらしく残業をした帰り、電車で30代とおぼしき男性2人がドア付近で話をしていました。一人はモッズ系スタイルで、もう一人は普通のサラリーマン風のスーツを着ていました。話ははっきり聞こえませんでしたが聞きとれた単語から類推するに、モッズ男はどうやらデザイン系の仕事をしているようで、「あれはだめだ。」などなんだか批判的な口調で話していましたが、普通男はうんうんと聞いているだけでした。モッズ男は特殊なものを好む女性にモテそうな感じで、ボソボソとよくしゃべり、パッと見賢そうだけど1時間ぐらい話したらバカが露見しそうじゃなぁと思いました。髪の毛はねじっていませんでした。さて普通男はいつしゃべるんだろうかと聞き耳を立てていましたら、突然、「特別な人間なんて一握りしかいないんだよ。あきらめろ。」と言ったのです。モッズ男は黙って(地下鉄なのに)眩しそうな顔をして外を眺めだしました。普通男は携帯を取り出しいじり始めました。その後の展開が気になるところでわたくしは駅に着いてしまった為見届けることができませんでした。なんかわかりませんが、「あきらめろ。」と言ってやりたくなるようなことを言っていたのでしょうか。だとしても実際はなかなか言えないのではないか。いやしかし、モッズ君には良かったのかもしれません。きっとあの雰囲気なので周りは誰も言わなかった一言だったかもしれないのです。モッズ君は心のどこかに「おれ、無理じゃね?」の気持ちを持ちつつも、まわりの「スゴーイ!」「才能あるよー!ガンバ!」の言葉に乗っかってちゃんと自分の頭を使っていなかったかもしれないからです。雰囲気がモテそうとか、最初の設定が高くてかわいそう。でもおまいさんはあの普通君によって救われたのだ、もう、カッコ付けることはないのであるよ。と言うような事を考えながら帰ったので、わたくしはだいぶ暇です。なのでちょっとぐらい残業したってしにません。しんでなるものか。