バカセラピー。

お向かいさんが業務上の人間関係で心を消耗してしまいました。もう辞める、と言い出したのです。元気を出してもらおうとデスクに飾ってある大仏の置物を使って「あんた辞めんとってやー。ワシ、さびしなるやないかー。」と言ってみたり、原因となった蝶ネクタイ野郎のことを「あの野郎、蝶ネクタイしてるからバカなんだぜ!外したらバカが治るんだぜ!おれがいまから引きちぎってきてやるぜ、へへっ!」と言ってみたりという、全く励ましとは程遠い、ただの「フザケ」を敢行しました。「もう、わかったよ。」的な失笑をゲットしたので、まあちょっとは元気でたかなと安心しました。本当のバカには怒りも失せる原理 を利用した励ましです。しかしこれは一時的な効果が得られるだけであり、根本的な解決は望めません。付け焼き刃、です。また、タイミングや塩梅を間違うとかえって状況を悪化させることになるので、今回わたくしはだいぶ冒険したことになります。さて、そんなお向かいさんがランチの時、「さっきエレベーターでえびぞうの話してる人がいて、奥さん可哀想って言ってたんだけど、私心が荒んじゃったのかなー。可哀想って思えなかったんだよね…。」と言ってきたうえに、「なんか、から騒ぎに出てたぐらいの女の子だから心強いっていうか、そんなヤワな子じゃないと思うんだよね…。」と言い出したので、なんだこの人、面白い!辞めないで!と思いました。間髪入れずに「私もよ。わたしもそういう色眼鏡であの姉妹のこと見てるわよ。」と言ったら今度は失笑ではなく「どぅふ!」とふいたので心の中でガッツポーズしました。セラピー完了です。えびぞうさんのお陰で一人の乙女が救われました。