わたしが幼稚園児だったとき。

わたしのあたまはからっぽで…。いいえ、今よりはからっぽではなかったかもしれません。もう少しいろんなことを考えていました。真剣に。そんな幼稚園児だった頃、わたくしはしんたろう君という六角精児似の男の子にだけモテていたそうです。わたくしの記憶からはそのピンポイントモテ記憶がすっかり削げ落ちており覚えがないのですが、母親から聞いた話ではしんたろう君の母上に「うちの子がミキコフちゃんの事が好き好き言うんですよ〜。」と言われたらしいのです。ありがちな「お嫁さんにする!」発言は日常茶飯事で、妹の持っている人形全部に妹さんの涙ながらの反対を押し切って「ミキコフ」と付けてしまったそうです。全部ミキコフです。猿のミキコフや青い目のミキコフ、起き上がりこぼしのミキコフ。妹さんにはとんだ迷惑だったろうよとない胸が痛みます。きっと大人になって幼稚園の写真を見た時、「オレ、なんでこんなじいさんみてぇな顔したガリガリキノコ女好きとか言ってたのか、意味わかんね。」としょっぱくなったに違いありません。あの頃のわたくしは骨のようにガリガリで、超ド級の毛量なうえ自家散髪をしていた為、キノコ以外に形容しがたい髪型だったので、立ち姿はエノキでした。その人間離れした、なにかのキャラクター的出で立ちが子ども心をくすぐったのかもしれません。子どもの頃の思い出はしょっぺぇです。むやみに懐かしむと怪我をするのです。気をつけろォッ!!!