電話に出んわ。

わたくしはかつて福祉系のビジネススクールで労働していたことがあるのですが、そこの会社は電話がたいへんに面倒なところでした。資料請求の電話がかかってくると、それは営業サイドにまわすことになっておりました。各営業さんによってその営業スタイルが違うため、この人につなぐ時はここまで聞いてから、あの人につなぐときはこれは話してはいけないなど何パターンか暗黙の了解的なきまりがあり、それを少しでも間違うと営業が烈火のごとく怒るという仕組みになってございました。しかも営業と庶務との外線が別になっていなかったので庶務で最初に電話を取るのが当たり前になっていました。生徒からのクレーム、きちがいからのきちがい電話なども毎日かかってくるので若いお嬢さん方は1ヶ月ほどで気を病んで次々に辞めて行きました。わたくしはこの会社に入る以前に乳揉み会社(わたくしが勝手にそう呼んでいる会社です)で地獄のような日々を過ごしておりました為に、確かにきつかったのですが死を確信するような業務ではないのでなんとかこなしておりました。皆、怖がって電話を取らない。必然的にわたくしが取る回数が増える。お陰で同時に複数の電話を取り保留を駆使しそれぞれを片っ端から片付けてゆく、という千手観音のような働きができるようになりました。忙しすぎたのでなんかよくわからない脳内物質が出ていたのだと思います。もともと粗忽者で怠け者なのでこのような働き方をしていたなど、まったく信じがたく、今やれといわれたら無理です。やりません。
オカマから「性転換したら便秘するようになった。どうやってうんこしてる?なんの薬が一番効く?」というわけのわからん相談をされたり、おっさんから「パンツ何色?ハアハア。おれのち〇ぽは真っ黒だよ。」そうか黒いのか。だから、なに?というためにならない情報を頂いたり。福祉系なので優しくしてもらえると思ってなのか、悩みを2時間近く話すウンコ野郎など様々な電話を取りました。最も厄介だったのは試験に落ちた生徒(特に年配のご婦人)からのクレームでした。もうとにかく心の扉を閉めて相手の気が済むまで聞く事に徹底しました。授業の事で文句を言って来たり、怒鳴りこんでくる生徒さんは大抵試験に落ちました。そもそも受かるような人は、人の事など当てにせず勉強に集中しているのでクレームを言っているヒマがないのだと思います。残業代も出ず、主任手当は子供のお小遣い程度しか出さない。さらにはボーナスをもらったのは1年目の夏が最初で最後でした。今、その会社はありません。なぜなら倒産したからです。合掌。